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ひとりよがりの博物学

世の中の博物を愛で奉る

Natural History Museum

Natural History Museumはロンドンの中心部からやや西側にある自然史博物館です。その外観の美しさだけでも、見る価値があります。

 

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自然史を扱っているので、人類の発展の歴史(類人猿からホモ・サピエンス)や動植物の化石、恐竜の化石、地球の歴史など、展示の種類は多岐に渡ります。

 

エントランスを抜けると、すぐに恐竜の化石の展示が来館者を出迎えます。恐竜の展示を見るのはやはり、いくつになってもわくわくします。日本でも福井県にある福井県立恐竜博物館は見ごたえがあり、展示も創意工夫に富み、国際的な研究も盛んなのでとてもお勧めです。

 

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特に展示の中で印象的だったのは、地震に関する展示でした。そこでは、日本の阪神淡路大震災東日本大震災が紹介されていました。特に前者の展示では、神戸の雑貨屋さんの再現展示が行われており、入館者は実際の地震の揺れを体験できるようになっています。

 

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ヨーロッパはイタリアを除けば、ほとんどの国で地震が起きません。ですので、イギリスの家屋を例にしても、日本人のわたしの眼には、少し危なっかしいようにも映ります。その分、古くからの家々が壊れずに代々使われてきたことを考えると、とても羨ましいような気もします。

 

地球の自然史の中に、日本の一地方が登場することは、とても不思議なようであり、またその被害を考えれば当然のことのようにも思えます。

 

阪神淡路大震災から22年、東日本大震災から6年の月日が経過しようとしています。震災に遭われた方の中には、人々の中で記憶が風化していくことに耐えがたく、やるせない気持ちを抱いている方もいらっしゃるかもしれません。

 

そのことを考えると、世界中から人々が訪れるロンドンの自然史博物館で、このような展示が行われていることには何かとても大きな意義があるように思えます。もちろん、展示として扱われるほどに、大きな災害が起きてしまった不幸を見過ごすことはできませんが。

 

博物館の展示は、人々の記憶にとても強く影響を与えると思います。しかし、無論のことそれらの展示はすべての事件や災害を扱えるわけではありません。ある災害が強く人々の記憶に残る一方で、別の災害が忘れられていくこともあるでしょう。しかし、その規模に関わらず、被災した人々の悲しみや不幸はそれぞれに異なり、比較できるものではありません。

 

記憶すべき災害や、忘れても良い災害の区別など、誰にもできることではないとわたしは思います。そうであるならば、展示された災害の陰には、さらに無数の大小様々な災害や人々の苦難があったであろうことに、そっと想いを馳せても良いのではないでしょうか。

 

まだ、22年。されど、6年。

 

2017年3月4日 雛崎 尋